スカッシュの神様。003
第三章「キングの来日」
「ああ死にそうだ」もう立てない俺は隣で涼しい顔をしている生意気少年を大の字で寝ながら見ていた。
「ねえおじさんどうしたらそんなに疲れるの」「走りまわり続ければ疲れるよ!そういえばお前最近顔見なかったけどどっか行ってたのか?」
「おじさん大阪って知ってる?」「お前なあイングランドはともかく今度は俺が生まれた大阪かよ」「父さんが休暇とれたから家族で大阪に行ったんだ。ユニバーサルスタジオとかエキスポランドとか海遊館とか」
「スカッシュは?」「エキスポランドの帰りにモノレールに乗って千里中央駅ってところで降りてすぐのところのスカッシュクラブに行ってきた」「千里中央って昔おじさんが仕事していたところだセルシーってフィットネスクラブの会員だったけどスカッシュは1回しかしなかったな!あそこ無くなったんじゃなかったっけ」「オリンピック競技になるらしくてスカッシュコートが復活したんだって今は6面もあるんだよ」
「へえそれは良かったな!それで上手い人はおった?」「おじさんよりは皆上手いネ」「また俺との比較かよ」「でもイングランドで一緒に練習してたマイクよりは大分下手だね!
スピードが遅いもん、そうだ明日ピーターとマイクが来るから連れてくるね!」
次の日噂を聞き付けた金沢スカッシャー20名程がピーター見たさに集まった初めて本当の大空のプレーが見れる。
期待で一杯だった。「ハロー」ピーターとマイクが大空と一緒にやってきた。我が目を疑った「大空、ピーターってまさかキング・オブ・スカッシュと言われていたピーター・ニコルソン」
「ねえピーターってキング・オブ・スカッシュって呼ばれてたの?」大空が聞くとマイクが「おいおいピーターは2年前に引退するまで10年間世界の頂点に君臨してきたイギリスの英雄じゃないか大空知らなかったの」
「うんだって誰もそんなこと僕に言わなかったよ」「じゃあマイクが世界ジュニアチャンピオンで16才にして世界トップテン入りしたイングランド期待の天才少年って言われているのも知らないのかい」続いてピーターが言った。
「マイクが天才少年なんて初耳だやたらでかいしスタミナあるから怪物少年ならピッタシさ」「オイオイ相変わらず口が悪いな!そんなんじゃ日本に帰ってから友達できないだろ」
「ううんこの横でボーっとしているおじさんを筆頭に周りにいるおにいさん、おねえさん、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃんまで仲良くしてもらっているよ!ねえ久しぶりだし早くスカッシュしようよ!」
「そうだなマイクお前ももうすぐ世界チャンピオンになれそうだイングランド時代みたいに大空に負けるなよ」ピーターが言った。「当たり前さ」マイクも自信ありげだ!それにしても皆楽しそうだ。
やっぱり大空も強い人とやる時のワクワク感が全然違う。
その時大空が大きく見えた。