スカッシュの神様。026
第二十六章「ボールの気持ちに」
「今日はスカッシュのおじさんじゃなくてスカッシュなナイスミドルことわたくし森本が講習をします。
たまに自分のミスをラケットやボールにあたるプレーヤーを見受けるけどそれはラケットやボールからすればおかど違いやね。
ボールからすれば色々なところに計画された旅にでたいのにプレーヤーが下手なばかりに計画も立てられずいつもおなじところばかりに行かされて困ってるんちゃうかな。
本当はコートの4つの隅に急いでいったりゆっくりいったり色々したいのに、旅先案内人が自分勝手にいつも急いでいたり、逆にのんびりとしていてコートの真中付近をうろちょろうろちょろさせられるので、のんびりしたやつにははずまなかったり、強くばかり打つやつにはたまにボールも怒ってパンクしていやがらせしたくもなるわな。
しかも下手な理由の大半は頭を使わないことから来てるんやねこれが。いいボールを打った時のことを意識したり、良くないボールを打った時の反省をしないでなんとなく打ってるからいつまでたってもあかんねん。
前壁の真中に行くのは打った時にラケット面がそちらを向いているからでボールのせいやないやろ。力のないボールも甘いボールもそうや!ボールからすればラケット面と触れている1000分の4秒以下の情報がすべてで旅先案内人のフォームや体型は関係あらへん。
ただ下半身やひざを使うことや身体の軸がぶれないようにする。
打つ瞬間の体制を整える、身体のねじれ戻しを利用する。
壁に当てるポイントを意識して打つとか基本的なことさえできればボールも満足といわなくても不満のない旅ができるわけやな!皆ここまでわかるな!」
受講生から声がかかる「森本さん大空さんとやる時にもボールにいい旅させてあげて下さい。」
「俺は国内旅行はよく行くけど宇宙旅行は慣れて無いからまだちょっと迷うけどそのうち銀河も超えてみせるぞ!待ってろ大空」
森本が銀河を超えたというのはさすがの作者も書けそうもないことでした。