スカッシュの神様。030

第三十章「目標」

　森本「スカッシュに限らず仕事でもスポーツでも目標をもって、その目標を達成するためにはどうすればいいか、プロセスや現状では何をするべきかを考え実行することが重要です。目標がないと伸びが遅くなりますし、目標があっても実行しなければ意味がありません。まず最終目標と近い将来の目標をもってやっていきましょう。

　私の古い友人でスカッシュの神様といわれてた人の目標は世界チャンピオンでも勝ち続けることでも有名になることでもありませんでした。スカッシュの楽しさを多くの人に知ってもらってやってもらって続けてもらうことでした。

　世界中誰でも気軽にスカッシュを楽しむ環境になって欲しいと願っていました。

　彼はいつもスカッシュは楽しく真剣にやろうというのが口ぐせでした。

　私の目標はその神様にいつか勝つことでした。結局達成できそうもありませんが・・・。彼に言われていたことが僕に勝つとか思わないでボールに集中して自分の最高のプレーを心掛けることと基本を守ることでした。

　そうすればいつか１ポイントとれるかもね？と言われました。そしてその時がついにやってきたのです。私の集中力がかつてなくあり正直自分と彼の存在しか感じられず彼の息づかいや動き、次に何をしようとしているのか感じることができました。

　後にも先にもその時だけですが、彼がいつもそういう感覚を感じながらそれにプラスしてスゴイ技術とセンスで真剣にプレーしていたからこそあれだけ凄いプレーを続けてこられたんだと思います。私もスカッシュが世界中の人が楽しんでいる光景が多くの場所で見られればいいなと考えています。ですから今日の講演を見に来ていただいた方には御協力いただければ幸いです。」